ヤクからミルクをいただく
2019年11月23日UP
カテゴリー/搾乳と乳加工
搾乳の概要
アムド地方の牧畜民が搾乳する家畜はヤクとヤク・牛交雑種のみで、羊からは搾乳しない。ヤクの搾乳は一日あたり朝晩2回で、1回あたりの乳量はヤク1頭あたり1リットルほどである。冬期には乳量が落ちるものの、1年にわたって搾乳できる。妊娠しなければ、2年にわたって搾乳が可能となるという。
搾乳のプロセス
搾乳対象の雌ヤクである母ヤクと、その仔ヤク(0-1歳の仔畜, 1-2歳の仔畜)は地面に張られた別々の多頭係留索に向かい合うようにしてつなぎ止められている。係留索には等間隔でつなぐための紐が出ているので、それとヤクの首紐がくくりつけられている。
1. 準備
まずヤクの母仔のまわりに溜まった糞を片付け、手をよく洗う。 腰の部分に搾乳専用のフックのついたエプロンをつけ、そこに搾乳桶の紐を引っ掛ける。 搾乳桶をお湯で洗い、そのお湯で手もよく洗う。
2. 催乳する
搾乳をはじめる前に、まずは仔ヤクを多頭係留索から放してに哺乳させ、泌乳を促す(催乳する)。 1分ほど哺乳させた後、仔ヤクを引き離して、母ヤクの近くに挿した専用の杭につなぎ止めておく。
3. 搾乳
腰から下げたフックに搾乳桶を引っ掛ける。搾乳は母ヤクに向かって左側からおこなう。両膝に搾乳桶を挟んだ状態でしゃがみ込み、乳房を左右の手で交互に引っ張るようにして搾乳する。搾乳にかける時間は5分程度である。
4. 哺乳
全ての乳を搾りきらず、仔畜の哺乳用に残した乳を搾乳後に再び哺乳させる。
朝は搾乳した後、母ヤクと仔ヤクを分離し、それぞれ別の群れにして放牧に出す。 夕方は搾乳後、係留索に母仔を別々につなぎ止めて、そのまま夜を過ごさせる。
文:平田昌弘
イラスト:蔵西
写真:平田昌弘
初出:SERNYA 3号 33–35頁