ヤクのミルクに大きく依存して生活する牧畜民。搾乳には、それぞれの地域で流儀があります。チベット・アムド地方の牧畜民の搾乳の様子を紹介しましょう。
ミルク加工の最終形態はバターとチーズ。チベット・アムド地方の牧畜民は、かつてからバターをつくり続けてきました。牧畜民の大切な食べ物、バター。その技術は、西アジアと北アジアからの技術伝播を伝えています。
クリームセパレーターというミルクからクリームを機械的に分離する道具がアムドに伝わり、アムドチベット牧畜民のバター加工は激変しました。伝統的なバター加工技術は消滅しましたが、女性をバター加工という重労働から解放しました。
ヤクに生活の多くを依存して生活するチベットの牧畜民。農作物を栽培できない天空の高地ゆえ、家畜からの生産物、特に乳製品は彼らの生活にとって不可欠な食材です。アムド地方の草原に暮らす牧畜民はどのように乳加工をおこなっているのでしょうか。
技術革新により、伝統文化の喪失と新規文化の創出がおこります。チベットとて同様で、クリーム・セパレーターの導入で乳加工は大きく変わりました。アムド地方の牧畜民の乳加工を事例に、その技術の変貌の様子を紹介しましょう。
初乳とは、出産直後に分泌される特別なミルクのことを指す。普通のミルクより黄色みがかっている初乳は、免疫系の形成に関わる成分を多く含み、仔畜が健全に成長するうえで欠かせないとされるが、牧畜民は、初乳を仔畜に与えずに搾乳してしまうこともある。ここでは牧畜民の初乳の利用に関してレポートしたい。