ミルクを用いた料理「オコ」
ミルクを使った汁気の多い料理をアムド・チベット語で「オコ」という。「オ」は「ミルク」を表す「オマ」、「コ」は「汁、スープ」を表す「コ」というチベット語にそれぞれ由来する。より具体的には、ミルクの中に米、麺、パン、小麦粉、ツァンパなどを入れたもの全般のことを「オコ」と呼ぶ。以下ではオコのうち、ミルク麺、ミルク粥、ミルクシチューの作り方を紹介したい。
ミルク麺
この料理は「オトゥク」とも呼ばれる。
作り方
1. 鍋にミルクと水を入れて沸かし、そこに乾麺を投入する。
2. 麺が柔らかくなるまで煮て、塩で味つけする。
ミルク粥
作り方
1. 鍋に米を入れ、水を加えてご飯を炊く。
2. 鍋に沸かしたミルクに炊けたご飯を入れ、塩で味つけする。
ミルクシチュー
日本でよく作られるシチューとは異なり、肉や野菜は入れない。ミルクと小麦粉をたっぷり使っており栄養があるため、体の弱った病人のために作ることもある。薄焼きのパンとともにいただく。
作り方
1. 小麦粉に水と少量の塩を加えてよく練る。練った小麦粉は切り分け、綿棒で伸ばして薄い円型に整形する。
2. 円型に伸ばした生地をフライパンの上で焼き、薄焼きのパンを作る。
3. 焼き終わったパンはくっつかないように広げ、冷ましておく。
4. ミルクに加えるための小麦粉をたらいに用意し、塩を加える。小麦粉と塩をよく混ぜ、そこに少量の水を加えて両手で小麦粉をすりあわせる。こうするとミルクに加えた時にだまにならない。
5. 乾燥チーズは水に浸しておく。こうすることでチーズの酸味も軽減されるという。
6. トマ芋を洗っておく。(乾燥トマ芋の場合は一晩ほど水に浸しておく)
7. ミルクと水の入った鍋を火にかけ、沸騰したら、さきほどふるった小麦粉をひとつかみずつぱらぱらと鍋に加えながらおたまでかき混ぜる。
8. 洗ったトマ芋と水でふやかしたチーズを鍋に加える。よく混ぜて少し煮詰める。
ミルクシチューを薄焼きパンにはさんだり、ちぎった薄焼きパンにつけたり、ちぎったパンをミルクシチューに浸したりなどして食べる。
この他、小さな揚げパンと乾燥チーズをホットミルクに入れたものや、トマ芋とツァンパをホットミルクに入れたものもオコと呼ばれる。オコはいずれも肉を使用しておらず、乳製品と穀類、または小麦粉で作ったパンや麺が主な材料であるため、肉を食べない斎戒日などに食べられることも多い。
文:海老原志穂
写真:海老原志穂、小川龍之介、平田昌弘